電子レンジ・食洗機OK?ポリプロピレンの耐熱温度は?メリットと注意点

ポリプロピレン製の子供用のコップの写真 紹介

皆さんの暮らしの中で、ポリプロピレン製の食器や保存容器は欠かせない存在ですよね。

しかし、身近で便利なポリプロピレン製品について、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

ポリプロピレンの基礎知識

ポリプロピレンとは?

ポリプロピレンは、私たちの身の回りで非常に多く使われているプラスチックの一種です。軽量で丈夫、そして加工しやすいという特徴から、様々な製品に利用されています。

ポリプロピレンの原料

ポリプロピレンは、プロピレンというシンプルな構造を持つ炭化水素を原料として作られます。このプロピレンを、特定の条件下で繋ぎ合わせることで、長い鎖状の分子、つまりポリプロピレンが誕生します。

ポリプロピレンの特徴

ポリプロピレンは、他のプラスチックと比べて以下のような特徴を持っています。

  • 軽量性: 軽量性: 比重が0.90~0.91と水より軽く、非常に軽量な素材です。そのため、持ち運びやすく、製品の軽量化に貢献します。

  • 耐熱性: 一般的に100℃~140℃の耐熱性を持ちます。ただし、電子レンジで使用できるかどうかは製品によって異なり、耐熱温度を確認する必要があります。電子レンジ対応の製品は調理器具や保存容器などに使用されています。

  • 耐薬品性: 酸やアルカリなど、多くの薬品に対して強い耐性を持ちます。そのため、化学薬品に触れる可能性のある容器や部品に使用されます。

  • 耐衝撃性: 衝撃に強く、割れにくいという特徴があります。そのため、子供用の食器や、アウトドア用品などにも利用されます。

  • 成形性: 熱可塑性があり、様々な形状に成形することができます。

  • 電気絶縁性: 電気を通しにくい性質を持ち、電気絶縁材料として優れています。そのため、電気製品の部品などに使用されます。

ポリプロピレンの耐熱温度

ポリプロピレンの耐熱温度は、一般的に110℃~130℃と言われています。 これは、ポリプロピレンが変形したり、溶けたりすることなく、その形状や機能を維持できる温度の目安です。

しかし、この耐熱温度はあくまで一般的な数値であり、ポリプロピレンの種類や厚さ、製品によって多少の差があります。
例えば、耐熱性を高めた特殊なポリプロピレンであれば、より高温に耐えられる製品も存在します。

なぜ耐熱温度に幅があるの?

耐熱温度に幅がある理由は、主に以下の点が挙げられます。

  • 添加剤: ポリプロピレンに、耐熱性を高めるための添加剤が加えられている場合があります。

  • 製品の形状: 薄い製品よりも厚い製品の方が、一般的に耐熱性が高い傾向にあります。

  • 製造方法: 製造方法によっても、製品の耐熱性に違いが生じることがあります。

電子レンジ・食洗機での使用可否

電子レンジでの使用

ポリプロピレン製の容器を電子レンジで温めたいという方は多いのではないでしょうか。
結論としては、電子レンジ対応の表示があるポリプロピレン製容器であれば、電子レンジで使用可能です。
ただし、電子レンジでの使用を想定していない容器は、変形や溶融の恐れがあるため、使用しないでください。

すべてのポリプロピレン製品が電子レンジ対応というわけではありません。製品によって耐熱温度が異なるため、必ず容器に表示されている耐熱温度を確認するようにしましょう

 

電子レンジでの注意点

  • 空焚きは厳禁: 容器の中に何も入れずに電子レンジで加熱すると、変形や火災の原因になることがあります。

  • 蓋つきの場合は注意: 蓋つきの容器を使用する場合は、加熱中に圧力がかかり、変形する可能性があります。

  • 加熱時間: 加熱時間は、食品の種類や量によって調整しましょう。長時間加熱しすぎると、変形や劣化の原因になることがあります。

食洗機での使用

ポリプロピレン製の容器は、一般的に食洗機での使用に耐えられるように作られていますが、製品によって異なります。

なぜ製品によって異なるの?

食洗機の洗浄温度は機種によって異なります。食洗機対応の表示がある製品を使用し、取扱説明書に従って使用してください。
ポリプロピレンは耐熱性があるものの、繰り返し高温にさらされると、変形や変色が起こる可能性があります。また、洗剤の種類によっては、ポリプロピレンを劣化させる場合があります。

食洗機での注意点

  • 製品表示の確認: 必ず製品に表示されている「食洗機対応」のマークを確認しましょう。
  • 乾燥温度: 乾燥温度が高いと、変形の原因になることがあります。

耐熱温度を超えるとどうなるの?

ポリプロピレンは、熱に弱く、耐熱温度を超えると様々な変化が起きます。具体的にどのようなことが起こるのか、詳しく見ていきましょう。

1.変形

ポリプロピレンは、耐熱温度を超えると柔らかくなり、形状が変化してしまいます。例えば、電子レンジで加熱しすぎた場合、容器が歪んだり、へこんだりすることがあります
また、熱いお湯を長時間入れたままにすると、容器が変形してしまい、密閉性が損なわれる可能性もあります。

2.溶ける

さらに高温になると、ポリプロピレンは溶けてしまいます。
溶けたポリプロピレンは、食品に混入したり、電子レンジを汚したりする原因となります。
また、溶けたポリプロピレンを誤って口に入れてしまうと、健康被害を引き起こす可能性も考えられます。

3. 加熱による変化

ポリプロピレンは、耐熱温度を超えて加熱されると、様々な変化が現れます。ここでは、変形や溶融といった物理的な変化に加えて、強度や色、臭いの変化、そして気になる有害物質の溶出の可能性について解説します。

  • 変形と溶融: 耐熱温度を超えると、ポリプロピレンは柔らかくなり、形状が変化します。例えば、電子レンジで加熱しすぎると容器が歪んだり、へこんだりすることがあります。さらに高温になると、溶けてしまう場合もあります。溶けたポリプロピレンは、食品に混入したり、電子レンジを汚したりする原因となります。

  • 強度の低下: 高温に長時間さらされると、ポリプロピレンの強度が低下し、破損しやすくなります。特に繰り返し高温にさらされると、劣化が進行しやすくなります。

  • 変色と臭い: 高温にさらされると、ポリプロピレンが変色したり、プラスチック特有の臭いを発したりすることがあります。これは、熱によって材料の一部が分解されることが原因です。

  • 有害物質の溶出について: 高温で長時間加熱した場合、ポリプロピレンに含まれるごく微量の添加剤などが溶出する可能性は否定できません。
    しかし、通常の家庭用電子レンジでの使用において、食品衛生法などの規格に適合した製品であれば、健康に影響を与えるほどの量が溶出する可能性は低いと考えられています。
    食品衛生法は、食品に接触する器具や容器包装の材質に関する規格基準を定めており、安全性が確保されています。
    過度に心配する必要はありませんが、念のため、製品に表示されている耐熱温度や使用方法を守って使用することをおすすめします。
    特に、油分の多い食品を高温で長時間加熱する場合は、注意が必要です。

4. その他

  • 強度が低下する: 高温にさらされると、ポリプロピレンの強度が低下し、破損しやすくなります。
  • 変色する: 高温にさらされると、ポリプロピレンが変色することがあります。
  • ニオイがする: 高温にさらされると、ポリプロピレンからプラスチック特有のニオイがすることがあります。

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ポリプロピレンと他のプラスチックとの比較

ポリプロピレンを劣化させる可能性のある洗剤の例は?

  • 塩素系漂白剤: ハイターなどが代表的です。塩素系漂白剤は、強力な酸化作用を持ち、ポリプロピレンの分子構造を破壊します。そのため、変色やひび割れの原因となります。

  • 酸性洗剤: 洗面所やトイレ用の酸性タイプの洗剤などが該当します。酸性洗剤は、ポリプロピレンの表面を侵し、光沢を失わせたり、ひび割れを起こす可能性があります。

  • 強アルカリ性洗剤: 油汚れ落としなどに使われる強アルカリ性の洗剤も注意が必要です。アルカリ性の洗剤は、ポリプロピレンの表面を侵し、変色や変形を引き起こす可能性があります。

安全な洗剤の選び方

  • 中性洗剤: 食器用洗剤などの中性洗剤が一般的です。ポリプロピレンへの影響が少ないため、安心して使用できます。

 

ポリプロピレンの代替品はある? 電子レンジ・食洗機対応の素材

耐熱ガラス:

  • メリット: 耐熱性に優れ、電子レンジ・オーブンで使用可能。汚れやにおいが付きにくく、衛生的。
  • デメリット: 衝撃に弱く、割れやすい。比較的重い。価格は高め。

シリコーン:

  • メリット: 耐熱性・耐冷性に優れ、電子レンジ・オーブン・冷凍庫で使用可能。柔軟性があり、折りたたんで収納できる。
  • デメリット: 油汚れが落ちにくい場合がある。色移り・におい移りすることがある。尖ったもので傷つきやすい。

陶器・磁器(電子レンジ対応のもの):

  • メリット: デザイン性が高く、食卓を彩る。
  • デメリット: 衝撃に弱く、割れやすい。陶器は吸水性があるため、長時間の浸け置きは避ける必要がある。電子レンジ対応かどうかを確認する必要がある。

ポリプロピレン容器に「寿命」ってあるの?

ポリプロピレンの劣化要因:

  • 紫外線: 長時間日光にさらされると、劣化が進み、変色やひび割れの原因となる。
  • 熱: 高温に長時間さらされると、変形や劣化の原因となる。
  • 酸化: 空気中の酸素と反応することで、徐々に劣化が進む。
  • 傷: 表面に傷がつくと、そこから劣化が進みやすくなる。
  • 内容物: 食品の色素や油分などが付着し、落としにくくなる場合がある。

ポリプロピレン自体に明確な耐用年数はありません。
しかし、以下のような状態が見られたら、交換を検討する時期と言えるでしょう。

  • 変色: 黄ばみや色あせが目立つ。
  • ひび割れ・亀裂: 表面にひび割れや亀裂が入っている。
  • 変形: 熱などで変形している。
  • 著しい傷: 表面に多くの傷があり、汚れが落ちにくい。
  • におい移り・汚れの沈着: 洗っても落ちないにおいや汚れが染み付いている。

特に、食品保存容器の場合は、衛生面を考慮して早めの交換をおすすめします。

ポリエチレンとの違いは?

「ポリプロピレン」と「ポリエチレン」名称が似ているため、混合しがちですが、これらは異なる素材です。

項目 ポリプロピレン(PP) ポリエチレン(PE)
硬さ 硬い 柔らかい
透明性 無色に近い透明 半透明で白っぽい
耐熱性 比較的高い (約100℃~140℃) 低い (約60℃~80℃)
耐寒性 比較的良い 比較的良いが、低温で衝撃に弱くなる場合がある
耐衝撃性 比較的高い 比較的高いが、低温で低下する
耐薬品性 比較的高い 比較的高い
耐候性(紫外線への強さ) 低い (紫外線で劣化しやすい) 高い (紫外線に比較的強い)
吸水性 ほとんどない ほとんどない
比重 軽い (約0.90g/cm³) 比較的軽い (約0.92~0.96g/cm³)
成形性 比較的容易 比較的容易
主な用途 食品容器、電子レンジ対応容器、自動車部品、繊維、フィルム 食品包装フィルム、レジ袋、容器、水道管、洗剤容器

 

もっと知りたい!ポリプロピレンと他のプラスチックの違い

ポリプロピレンと他の主要なプラスチック(ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET))の違いを表形式で説明します。

特性 ポリプロピレン (PP) ポリエチレン (PE) ポリスチレン (PS) ポリ塩化ビニル (PVC) ポリエチレンテレフタレート (PET)
主な特徴 軽量、耐熱性、耐薬品性、強度、加工性 軽量、柔軟性、耐水性、電気絶縁性 透明性、剛性、成形性、印刷性 耐候性、難燃性、電気絶縁性、比較的硬い 透明性、強度、耐熱性、リサイクル性
比重 約0.90~0.91(水に浮く) 約0.90~0.96(種類によって異なる。高密度PEは水に沈む場合がある。) 約1.05(水に沈む) 約1.3~1.4(水に沈む) 約1.3~1.4(水に沈む)
耐熱温度 約100~140℃ 約70~110℃(種類によって異なる) 約70~90℃ 約60~80℃ 約70℃
強度・硬度 硬く、強度が高い 柔らかく、柔軟性がある 硬く、脆い(衝撃に弱い) 硬く、比較的強度がある 硬く、強度が高い
耐薬品性 酸・アルカリに強い 酸・アルカリに強い 酸に弱い、アルカリに比較的強い 酸・アルカリに強い 酸に比較的強く、アルカリに弱い
透明性 半透明~不透明 半透明~不透明 透明 透明~不透明 透明
用途例 食品容器、自動車部品、繊維、日用品 ビニール袋、ラップフィルム、容器、玩具 食品容器、発泡スチロール、模型 パイプ、ホース、電線被覆、建材 ペットボトル、繊維、食品容器
リサイクル 比較的容易 比較的容易 比較的困難(発泡スチロールは特に困難) 種類によって異なる。可塑剤を含むものはリサイクルが難しい場合がある。 比較的容易
燃焼性 可燃性(燃焼時に特有の臭いを発する) 可燃性 可燃性(燃焼時に黒煙を出す) 難燃性(燃焼時に塩化水素などの有害ガスを発生する可能性あり) 可燃性

補足:

※上記の数値は一般的なものであり、製品のグレードや製造方法によって多少異なる場合があります。

※ポリエチレンは、密度によって高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などに分類され、それぞれ特性が異なります。

※ポリ塩化ビニルは、可塑剤を加えることで柔軟性を持たせた軟質塩ビと、可塑剤を加えない硬質塩ビに分けられます。

最後に

この記事では、ポリプロピレンの基礎知識や、耐熱性や安全性、他のプラスチックとの比較を紹介しました。今回得た知識を活かして、ポリプロピレン製品をより安心して活用し、より豊かな生活を送っていただければ幸いです。

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