- リステリア菌ってなに? チーズを食べる上で注意すべき点は?
- 「加熱用」「要加熱」表示の違いは? 安全に食べるための選び方
- リステリア菌から身を守る! 家庭でできる予防策と正しい保存方法
- Food Safety Newsの記事「Retailer list updated for cheeses traced to outbreak of infections from Listeria」の要約(2022年11月)
- Q1. 「加熱用」と「要加熱」の違いは何ですか?
- Q2. 「生でも食べられる」と表示されているチーズは、本当に生で食べても大丈夫ですか?
- Q3. リステリア菌はどんな菌ですか?
- Q4. リステリア菌から身を守るにはどうすればいいですか?
- Q5. どのくらいの温度で加熱すれば良いですか?
- Q6. 妊娠中はチーズを食べてはいけないのですか?
- Q7. 子供にチーズを食べさせても大丈夫ですか?
- Q8. どの種類のチーズが安全ですか?
- Q9. 自宅でチーズを保存する際の注意点は何ですか?
- Q10. リステリア菌は、どのような食品に多いですか?
- Q11. リステリア菌は、どのような食品で増殖しやすいのですか?
- Q12. リステリア菌は、加熱するとどのくらいの温度で死滅しますか?
- Q13. リステリア菌は、冷凍しても死滅しないのですか?
- Q14. リステリア菌に感染すると、どのような症状が出ますか?
- Q15. リステリア菌は、日常的に心配する必要があるほど危険な菌ですか?
リステリア菌ってなに? チーズを食べる上で注意すべき点は?
スーパーで手軽に買えるとろけるチーズ。トーストやグラタンなど、様々な料理に活躍してくれますよね。でも、そのパッケージに書かれた「加熱用」や「要加熱」の表示を見たことありますか?実は、この表示には、食中毒の原因となる「リステリア菌」という細菌に関する重要な情報が隠されているんです。
リステリア菌は、冷蔵庫の中でも増殖してしまう非常に強い細菌です。
特に、免疫力の低い妊婦さんや高齢者の方は、この菌に感染すると重症化してしまうリスクが高いため、注意が必要です。
チーズに限らず、乳製品はリステリア菌が繁殖しやすい環境であるため、私たちが日頃から注意を払う必要があります。しかし、正しい知識さえ持っていれば、安心してチーズを楽しむことができます。
「加熱用」「要加熱」表示の違いは? 安全に食べるための選び方
「加熱用」と「要加熱」の表示、どちらも加熱が必要なのは同じですが、その意味合いは少し異なります。
- 加熱用: この表示は、製品の品質を保つために加熱調理することを推奨しています。必ずしもリステリア菌が含まれているわけではありませんが、加熱することでより美味しく、安全に食べられるということです。
- 要加熱: この表示は、リステリア菌などの食中毒菌が含まれている可能性があるため、必ず加熱調理をしてから食べる必要があることを示しています。
では、どのようにチーズを選べば良いのでしょうか?
- ナチュラルチーズ: 原料乳の加熱殺菌方法によって、リステリア菌のリスクが異なります。加熱殺菌していない生乳で作られたナチュラルチーズは、リステリア菌のリスクが高いので注意が必要です。
- プロセスチーズ: ナチュラルチーズを高温で溶かし、乳化剤などを加えて作られたチーズです。製造過程で加熱処理が行われるため、リステリア菌のリスクは低いと言えます。
スーパーで購入する際は、パッケージをよく確認し、原材料名や表示内容をしっかりと読みましょう。また、お店の人に質問してみるのも良いでしょう。
リステリア菌から身を守る! 家庭でできる予防策と正しい保存方法
75℃で1分間以上加熱すること!
リステリア菌は、一般的な食中毒菌と同様に、加熱によって死滅します。一般的に、75℃で1分間以上加熱することで、リステリア菌は死滅するとされています。
ただし、チーズの種類や形状、リステリア菌の量などによって、必要な加熱時間や温度は多少異なる場合があります。
チーズの加熱の注意点
- 中心部まで十分に加熱する: チーズは中心部まで十分に加熱することが重要です。特に、厚みのあるチーズや、中に具材が入っているチーズなどは、中心部まで火が通りにくいので注意が必要です。
- チーズの種類別: 軟質チーズやセミソフトチーズなどは、リステリア菌が繁殖しやすい場合があります。これらのチーズは、加熱調理するか、加熱殺菌処理された製品を選ぶようにしましょう。
- 再加熱する場合: 一度加熱したチーズを再加熱する場合は、中心部まで十分に加熱しなおす必要があります。
実際にあった事例の紹介
CDCのウェブサイト「Listeria Outbreak Linked to Brie and Camembert Cheese – September 2022」の要約
2022年9月のリステリア菌による食中毒事件(ブリーチーズとカマンベールチーズ)
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の報告によると、2022年9月に、特定のブランドのブリーチーズとカマンベールチーズが原因のリステリア菌による食中毒事件が発生しました。
事件の概要
- 原因食品: Old Europe Cheese社の製造する特定のブリーチーズとカマンベールチーズが、リステリア菌に汚染されていたことが判明しました。
- 影響範囲: アメリカ合衆国内の複数の州で患者が発生し、大規模なリコールが行われました。
- 対策: 汚染されたチーズの回収、消費者にリコール情報を周知するなどの対策が実施されました。
- 健康への影響: リステリア菌は、特に妊婦、高齢者、免疫力が低下している人にとって重篤な感染症を引き起こす可能性があります。
事件の経過と対策
- 発生: 2022年9月に複数の州でリステリア菌感染症の患者が報告され始めました。
- 原因究明: 疫学調査や食品検査の結果、Old Europe Cheese社の製品が原因と特定されました。
- リコール: 汚染された可能性のある製品が広くリコールされ、販売店や消費者に注意喚起が行われました。
- 終息: 適切な対策が行われた結果、このアウトブレイクは終息を迎えました。
Food Safety Newsの記事「Retailer list updated for cheeses traced to outbreak of infections from Listeria」の要約(2022年11月)
2022年11月、Food Safety Newsは、リステリア菌による食中毒事件に関与したチーズを取り扱っていた小売店のリストが更新されたことを報じました。
事件の概要
- 原因食品: Old Europe Cheese社の製造する特定のブリーチーズとカマンベールチーズが、リステリア菌に汚染されていたことが判明。
- 影響範囲: アメリカ合衆国全土の複数の州で患者が発生。
- 小売店: Trader Joe’s、Fresh Thyme、Prestige、Block & Barrelなど、複数の小売店でこれらのチーズが販売されていました。
- 患者数: CDCによると、少なくとも6人が感染し、そのうち5人が入院。
- リコール: Old Europe Cheese社は、9月30日に一部の製品をリコールし、10月5日にリコール対象を拡大。
- 原因究明: Old Europe Cheese社の生産施設のサンプルからリステリア菌が検出され、この菌株が患者の感染と関連付けられました。
記事のポイント
- リコールの拡大: 初期の調査結果を受けて、リコール対象となる小売店や製品が増加しました。
- 消費者の注意喚起: 長い賞味期限を持つチーズのため、消費者がまだリコール対象の製品を自宅に保管している可能性があるとして、注意が呼びかけられました。
- 調査の継続: FDAは、他の製品が汚染されている可能性があるか調査を継続しています。
- 低温でも増殖: リステリア菌は、冷蔵庫の温度でも増殖できるという特徴があります。そのため、チーズは冷蔵庫に長期間保存せず、賞味期限内に食べきるようにしましょう。
- 妊婦や高齢者、免疫力が低下している人は特に注意: リステリア菌による食中毒は、妊婦や高齢者、免疫力が低下している人などでは重症化しやすいことが知られています。これらのグループの人は、特に注意が必要です。
まとめ
リステリア菌は加熱によって死滅しますが、中心部まで十分に加熱することが重要です。チーズの種類や状態によって、必要な加熱時間や温度は異なりますので、加熱調理する際は、食品の表示をよく確認し、安全に調理するようにしましょう。
もし、リステリア菌についてさらに詳しく知りたい場合は、厚生労働省のホームページや、専門機関にご相談ください。
厚生労働省のリステリア菌に関する情報:「リステリアによる食中毒」
リステリア菌から身を守るためには、以下の点に注意しましょう。
- 加熱: 「加熱用」や「要加熱」と表示されているチーズは、必ず加熱調理をしてから食べましょう。
- 賞味期限: 食品は、賞味期限内に食べきりましょう。特に、開封後は早めに消費することが大切です。
- 冷蔵庫の温度管理: 冷蔵庫の温度は、2〜10℃に保ちましょう。リステリア菌は低温でも増殖するため、冷蔵庫の温度管理は非常に重要です。
- 衛生的な調理: 食材を扱う際は、手をよく洗い、調理器具も清潔に保ちましょう。
- 生食の注意: 生ハムやスモークサーモンなど、生食できる食品は、信頼できるメーカーのものを選び、加熱調理できるものは加熱して食べましょう。
Q&Aまとめ
Q1. 「加熱用」と「要加熱」の違いは何ですか?
A1. どちらも加熱が必要なチーズですが、「加熱用」は、より美味しくいただくための推奨であり、必ずしも食中毒菌が含まれているわけではありません。「要加熱」は、食中毒菌(特にリステリア菌)が含まれている可能性が高いため、必ず加熱調理をする必要があることを示しています。
Q2. 「生でも食べられる」と表示されているチーズは、本当に生で食べても大丈夫ですか?
A2. 必ずしも安全とは言えません。「加熱用」や「要加熱」の表示が優先されるため、「生でも食べられる」という表示は、あくまでも一般的な可能性を示すものです。特に、免疫力の低い方や妊婦さんは、加熱調理することをおすすめします。
Q3. リステリア菌はどんな菌ですか?
A3. リステリア菌は、冷蔵庫の低温でも増殖できる食中毒菌です。特に、妊婦さんや高齢者など、免疫力が低下している方は、感染すると重症化しやすいため注意が必要です。
Q4. リステリア菌から身を守るにはどうすればいいですか?
A4.
- 加熱: 「加熱用」や「要加熱」と表示されているチーズは、必ず加熱調理をする。
- 賞味期限: 賞味期限内の食品を消費する。
- 冷蔵庫の温度管理: 冷蔵庫の温度を2〜10℃に保つ。
- 衛生的な調理: 食材を扱う際は、手をよく洗い、調理器具も清潔に保つ。
Q5. どのくらいの温度で加熱すれば良いですか?
A5. 一般的に、75℃以上で1分間加熱することで、リステリア菌は死滅するとされています。ただし、製品によって加熱時間が異なる場合がありますので、パッケージの表示をよく確認するか、製造元に問い合わせることをおすすめします。
Q6. 妊娠中はチーズを食べてはいけないのですか?
A6. 妊娠中は、リステリア菌に感染すると、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、特に注意が必要です。加熱用や要加熱のチーズは、必ず加熱調理をしてから食べ、生乳で作られたチーズは避けるようにしましょう。
Q7. 子供にチーズを食べさせても大丈夫ですか?
A7. 子供も大人と同様に、リステリア菌感染のリスクがあります。特に、免疫力が未発達な乳幼児は注意が必要です。加熱用や要加熱のチーズは、必ず加熱調理をしてから食べさせましょう。
Q8. どの種類のチーズが安全ですか?
A8. プロセスチーズは、製造過程で高温殺菌が行われるため、リステリア菌のリスクは比較的低いと言われています。しかし、パッケージの表示を必ず確認し、加熱が必要な場合は加熱調理をするようにしましょう。
Q9. 自宅でチーズを保存する際の注意点は何ですか?
A9. 冷蔵庫の温度は2〜10℃に保ち、他の食品との混ざらないよう、密閉容器に入れて保存しましょう。また、賞味期限を守り、早めに消費することが大切です。
Q10. リステリア菌は、どのような食品に多いですか?
A10. リステリア菌は、生乳製品(ナチュラルチーズなど)、生ハム、スモークサーモンなどの生食される食品で多く見られます。
Q11. リステリア菌は、どのような食品で増殖しやすいのですか?
A11. リステリア菌は、水分活性(食品中の水がどの程度自由に動き回れるかを示す指標)が高く、栄養価の高い食品で増殖しやすいです。具体的には、生乳製品(ナチュラルチーズ、ソフトチーズなど)、生ハム、スモークサーモン、調理済み冷蔵食品(惣菜など)などが挙げられます。
Q12. リステリア菌は、加熱するとどのくらいの温度で死滅しますか?
A12. 一般的に、75℃以上で1分間加熱することで、リステリア菌は死滅するとされています。しかし、菌の量や食品の種類によって、必要な加熱温度や時間が異なる場合があります。
Q13. リステリア菌は、冷凍しても死滅しないのですか?
A13. 冷凍するとリステリア菌の増殖は抑制されますが、死滅するわけではありません。解凍する際に、再び増殖する可能性があるため、十分に加熱調理することが重要です。
Q14. リステリア菌に感染すると、どのような症状が出ますか?
A14. 発熱、筋肉痛、悪心、嘔吐、下痢などの症状が現れます。また、高齢者や免疫力が低下している人では、髄膜炎や敗血症を引き起こすこともあります。
Q15. リステリア菌は、日常的に心配する必要があるほど危険な菌ですか?
A15. リステリア菌による食中毒は、他の食中毒に比べて発生頻度は低いですが、重症化しやすいという特徴があります。特に、妊婦さんや高齢者、免疫力が低下している方は、注意が必要です。